心理カウンセラー みくさんにヒアリングを実施しました
パニック障害を抱える方々が「安心して通える美容院」を見つけられるようにするための情報プラットフォーム「CalmCut」の立ち上げ準備に際し、パニック障害の当事者であり、現在は回復に向けた講座を運用されているみくさんに、ヒアリングを実施しました。
みくさんの実体験と、多くの方の相談に乗ってきた経験から見えてきた、美容院が不安な環境となる理由、そして安心につながる具体的な配慮についてまとめました。
パニック障害の方が美容院に抱きやすい「不安」
みくさんによると、美容院に行くことへの不安は、パニック障害を持つ方にとって「車に乗れない」ことと同程度の割合で一般的な「できないこと」の一つとなっています。
A. 重症度による違い
症状の重さによって、美容院への意識は異なります。
重症の方:自身の身なりや髪の状態よりも、毎日息をしていることが精一杯な状態であり、美容院どころではないと感じています。
日常生活がある程度送れる方:広場恐怖症があり、普通の生活はできるものの、いつもと違う環境に置かれると不安になる人が、美容院に困難を感じやすい層です。
B. 根本的な不安:逃げられない「拘束感」
美容院が不安になる最大の要因は、拘束感や、すぐに逃げられない環境にあると感じられています。
特に、髪を濡らす行為自体が、もし発作が起きても「外に出られない」という動けない行為につながるため、強い不安を感じるポイントです。髪が濡れていたり、薬剤がついた状態では、すぐに店外に出ることができないため、この行為が拘束感につながるのではないか、という指摘がありました。
また、美容院では周りのお客さんに気づかれたくないという意識も強く、「自分だけそわそわしている感じが嫌だ」と感じることも不安の一因です。
映画館や高速道路と同様に、美容室はパニック障害の方が最後に克服する(難しい)場所の一つに挙げられます。
安心につながる具体的な「配慮」
では、パニック障害を持つお客様が安心できる環境や対応には、どのようなものがあるでしょうか。
A. 環境的な配慮のポイント
みくさんは、「いつ自分が発作を起こしてもいいように備えておきたい」という気持ちが、抵抗感を減らす上で重要だと述べています。
逃げ場所の確保: 発作が起きた時に逃げ場所がある、あるいは一時的に休憩できる場所(個室など)があるという安心感が非常に重要です。
人目を避ける空間: 発作時にみんなに見られるのが嫌なため、自分と美容師さんしかいない環境、例えば仕切り(カーテンやパーテーション)があるだけでも安心につながります。
ただし、人によっては特別扱いされることに違和感を覚え、逆にそれが嫌だと感じる可能性もあるため、配慮の仕方は柔軟に対応できることが望ましいとされています。
施術方法: 髪を濡らさずにカットできるなど、拘束の少ない施術が可能であること。
代替手段: 自宅など慣れた環境で施術を受けられる出張美容室のようなシステムは、非常にありがたいと感じられています。
感覚的な配慮: 症状によっては、光が眩しい、音がうるさいといった感覚過敏の症状が出る場合があるため、明るさやBGMの音量についても配慮があることが望ましいです。
B. 心理的な配慮とコミュニケーション
美容師さん側がパニック障害について深く理解しておくことが大切です。
病気の認知: 一般的にパニック障害の認知度が浅いため、美容師側が「どのような症状が起きるのか」を知っておくことが求められます。
事前の情報共有: お客様ご自身は、「自分からパニック障害であることを言うのは嫌だ」というジレンマを抱えていることが多いです。そのため、CalmCutのようなシステムで、来店時に説明しなくても不安や病気を理解してもらっている状態が理想です。
声かけ: 発作が起きても大丈夫だという安心感を与えることが重要です。
「辛かったら出てもいいよ」「怖くなったら出てもいいよ」といった逃げ場所があることを示す声かけは、大きな安心につながります。
結びに:CalmCutについて
みくさんは、CalmCutのサービス(来店前に不安を把握し、対応できるようにすること)について、「すごくいい」と評価されております。
CalmCutが構想している、予約時に不安事項や対応希望を伝えられるプロフィールの登録は、お客様が自ら声を出さなくても理解されるという点で重要です。また、サロン側のチェック項目として、個室の有無や一時休憩スペースの有無が重要になると提言されました。
CalmCutでは今回のように専門家にご意見をいただきながら、美容院の環境や対応のチェック項目、お客様の現状や要望を伝えるプロフィールなどを作成し、CalmCutを利用すれば、予約の時点でお互いを「理解」できるサービスにしていく予定です。その「理解」が「安心」をうむ大きな一歩だと考えています。
みく様、ヒアリングへのご協力ありがとうございました。
ヒアリングご協力者
みくさん ご紹介プロフィール
みくさんは、「パニック障害改善セラピスト」として、現在はパニック障害の改善講座を運用されている専門家です。
経歴と信念
みくさんは、約2年半前にパニック障害を発症されました。当初、更年期や心臓の病気を疑い、半年間、内科や肺、頭の検査などを行いましたが、異常は見つかりませんでした。その後、精神科でパニック障害と診断されました。
ご自身が発症当初、原因が分からないまま救急車を呼ぶような状態であった経験から、薬だけでは根本解決しないことに気づき、心理学や脳科学などを独自に学び始めました。
活動実績
認知行動療法などで自身が解決した方法をベースに、2023年6月からパニック障害の改善講座を運用されています。講座は第3期まで実施されており、これまでにみくさんご自身が接点を持った方は100人近くに上ります。また、他のパニック障害専門講座の専属講師も務められており、個別相談なども担当されています。